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コラム① 米農家・酪農家とイタリアンシェフの異例のコラボ
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農業、酪農を誇る町のイタリア食堂の役割
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- 栃木県高根沢町。田んぼに囲まれたこの町に、少し意外な組み合わせがあります。米を育て、牛を育てる「アライファーム」の荒井さんと、地元のイタリア食堂「ヴェッキオ・トラム」の照井シェフです。
「ヴェッキオ・トラム」は2016年、高根沢町にオープンしたイタリア食堂です。輸入食材に頼らなくても、高根沢には西洋野菜をはじめ豊富な農作物がそろう。そんな土地の魅力に惹かれた照井シェフは、地元・高根沢産の野菜をふんだんに使ったイタリア料理を提供してきました。照井シェフはこの店の役割を、こう語っています。
「地域に役立つレストラン、高根沢町のシンボルになるためのレストランを作ってきたところがあるので、地元農家が作った野菜と、そこを消費者につなげるための架け橋ができる環境というのが、自分たちのやってきた取り組みです」 -
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「高根沢といえば」そんな誇れるものを作りたい
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- 高根沢産の玉ねぎや干し椎茸もあわせて使い、地元の食材だけで仕立てた、正真正銘“高根沢産”のボロネーゼソース。荒井さんが育てた経産牛の旨みと、高根沢の畑の恵みが、ひと皿の中でしっかり結びついています。同じ牛から生まれたミルクは、なめらかでコクのあるホルスタイン種のミルクジェラートに。
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2人がタッグを組んだ理由
- 二人がこの商品作りに込めたのは、「高根沢町に来れば、この経産牛のボロネーゼソースと、ホルスタイン種のミルクジェラートに出会える」。そう言ってもらえるようなブランドを作りたいという想いです。牛と田んぼが育んできた、この町の魅力を未来へつないでいくために、荒井さんと照井さんは、生産者とシェフという立場を超えてタッグを組みました。実際にこの町を訪れてほしいという想いも、二人に共通しています。
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ミルクとビーフの知られざる物語に迫る
- このボロネーゼソースとミルクジェラートのもとになっている牛乳や牛肉には、実は、知られざるこだわりと興味深いストーリーがあります。
・輸入飼料に頼らず、自分の田んぼで飼料を作ることによるコスト削減と環境貢献
・堆肥を高根沢町の農地に還す、耕畜連携という仕組み
・田んぼのメタンガス削減を、牛の飼養にともなう排出の埋め合わせに置き換える挑戦
・高根沢という土地の発信、「高根沢といえば」と誇れる商品づくり
荒井さんと照井さんが、牛と田んぼと、この町の未来をつなぐために積み重ねてきた取り組みを、ここから順にご紹介します。 -
コラム② 牛肉も牛乳も、「当たり前にそこにある」時代は終わりかけています
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牛のエサ代の高騰・荒井さんが見つけたヒント
- 牛乳や乳製品は、少し値段が上がっただけで購入量が目に見えて減る、「値上げに弱い」商品だと言われています。だから酪農家は、飼料が値上がりしても、その分だけ牛乳や牛肉の値段を上げるという選択が簡単にはできません。
一方で、飼料代は酪農家の経営コストの3〜5割を占め、輸入飼料の価格はこの数年で大きく上昇しました。「コストは上がるのに、価格は上げられない」。多くの酪農家が、この矛盾の中で経営を続けています。
高根沢町で牛を育てる荒井さんも、同じ問いと向き合ってきたひとりです。「値段を上げる」以外の答えを、荒井さんは自分の田んぼの中に探しました。 -
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コラム③ 平田ロッソ牛!?「経産牛だから」で終わらせない。もう一段、美味しさを届ける工夫
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ママさん乳牛のお肉には課題が...
- 「平田ロッソ牛」は、ホルスタイン種(乳用牛)の経産牛(出産を経験したママさん乳牛)からできるお肉です。経産牛は一般的に「肉がかたい」「脂が黄色い」と評価され、肉用としてはなかなか高い値がつかず、多くはミンチや加工品に回されてしまうのが実情です。
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- 荒井さんは、この経産牛を「安いから仕方なく選ぶもの」にはしたくないと考え、肉そのものの価値を高める工夫を重ねてきました。
スーパーに並ぶ牛肉の価格が上がり続けている今、こうして手をかけられた経産牛のお肉は、「安いから選ぶ」ものではなく、「知ってこそ選びたくなる」ものになってきています。それが「平田ロッソ牛」という名前に込められた、もうひとつの挑戦です。 -
コラム④ 荒井さんが出した答えは、「牛の餌は、自分の田んぼで作る」でした
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米どころ・高根沢の強みを活かして
- アライファームの牛たちが食べているのは、なんと高根沢のお米(正確には、牛が特に好んで食べる飼料イネ)です。輸入トウモロコシのような、湿地に弱く背の高い作物を育てるより、田んぼの多い高根沢の土地では、稲を育てて飼料にするほうがずっと理にかなっています。
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- これは単なる「こだわり」ではありません。自給飼料は輸入飼料に比べて生産コストを6割程度低く抑えられるとされ、輸入飼料が値上がりし続ける今、自分で飼料を作れることは、経営コストを大きく左右する強みになります。栃木県内では、飼料イネや籾米を使い飼料自給率を51%まで高めても乳量を落とさなかった実証事例もあり、これから飼料高騰に苦しむ全国の酪農家にとっても、ひとつの前例になるかもしれません。
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自給飼料は経営を守るためだけの工夫ではなく、”証明つき”の環境貢献!?
- 実は、この自給飼料へのこだわりは、荒井さんの経営を守るためだけの工夫ではありません。
農林水産省の「畜産物の環境負荷低減の取組の見える化」実証事業で、あなたが今まさに手にしているこのミルクジェラートの生乳が、自給飼料の取り組みなどにより、温室効果ガスの削減貢献率5%と実証されています(農林水産省、2026年)。
輸入飼料は、海外から運ばれてくる間にも温室効果ガスを排出します。自分の田んぼで飼料を育てて使うことは、その輸送にかかる分の排出を減らすことにもつながります。荒井さんが「コストを抑えたい」と考えて選んだ自給飼料が、結果として、あなたが食べるこの一杯のミルクジェラートを通じて、地球全体の温室効果ガス削減にもつながっています。 -
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コラム⑤ 牛の命を、最後まで活かす。「耕畜連携」という知恵
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ビーフやミルクだけでなく、高根沢のお米作り・農業の力に
- アライファームの牛たち全体で、1日あたりおよそ2,400kgの排泄物が出ます。アライファームでは、この排泄物を堆肥にして近隣の農家さんへ提供し、そのかわりに、農家さんが持つもみ殻や稲わらを牛舎の敷料として分けてもらうという関係を築いています。
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- 牛の堆肥は、化学肥料に頼らず田んぼに栄養を与え、そこで育った稲がまた牛の飼料になる。ただ「牛を育て、牛乳や牛肉を作る」だけでも大変な仕事なのに、荒井さんは「コメも育て、飼料を地産地消し、牛の堆肥も地域に還す」というところまで、牛が生み出す価値を余さず活かそうとしています。
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コラム⑥ 田んぼで生まれた環境価値を、そのまま牛肉に。国内でもほとんど前例のない挑戦。
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環境にやさしいお米!?
- アライファームの田んぼでは、田んぼの管理を少し工夫しています。
田植えから約1カ月後に田んぼに水を張らない期間を「中干し」といいますが、その期間を1週間延長することを「中干し延長」といいます。
この工夫により、メタンガスを30%削減できます。 -
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メタンガスを削減することがお金になる時代に
- この環境にやさしい農法の価値は、これまでは単なる慈善活動に過ぎませんでした。
ただ、実は今、アライファームの田んぼでの小さな工夫、環境に優しい農法への取り組みも、市場で取引できる形(カーボンクレジット)として売買されます!
つまり具体的に言うと、農家さんがメタンを減らす取り組みをし、国に申請することで証書を手に入れます。企業がそれを購入することで、企業自ら脱炭素社会への貢献をアピールできるということです。
こういった米農家のこだわりが、経済的に評価される仕組みが農林水産省、環境省、経済産業省によって整備されています。この仕組みを「J-クレジット制度」といいます。
しかし、農業分野でカーボンクレジットの認証を受けているプロジェクトは、全国でもまだ多くはありません。また、個人経営の農家が単独で第三者審査を受けるには相応のコストがかかるため、実際に登録まで進んでいる例は多くありません。
さらにそのほとんどは「田んぼで生まれたカーボンクレジットを、企業が購入する」という形です。 -
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日本全国で前例がほとんどない初めての挑戦
- 一方で、荒井さんは、単にメタンガスを削減するお米作りを実施し、企業に販売するだけではないのです!
実は、アライファームでは、自分の田んぼの中干し延長で生まれたカーボンクレジットを、自分が育てる牛自身の排出量に置き換えることに挑戦しています。クレジットの産地と使い先が、同じ経営の中で完全につながっている例は、ほとんど見当たりません。
「牛を育てること」「田んぼを守ること」「環境に配慮すること」。ふつうはバラバラに語られがちなこの3つを、荒井さんは高根沢の田んぼの中で、ひとつの輪としてつなげようとしています。 -
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本当にそんなことできるの?
- ここまでの説明、正直「本当にそんなことができるの?」と思われた方もいるかもしれません。
実際に、荒井さんが育てる牛のうち1頭分の年間の温室効果ガス排出量(3.66トン)が、この中干し延長で生まれたカーボンクレジットによって、公式にオフセット(相殺)されたことが証明されています。
あなたが手にするお肉やミルクは、こうした一枚の証明書に裏付けられた、"本当に環境に配慮された牛"から生まれたものです。 -
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コラム⑦ 食べることが、牛と田んぼと、高根沢の魅力をミライへつなぐ
- 栃木県高根沢町は、豊かな田園風景と、酪農・農業に情熱をかける生産者たちに恵まれた町です。けれど、これだけの資源がありながら、観光や関係人口づくりにはまだまだ苦労しているのが実情です。
「高根沢といえば○○だよね!」と、ひと言で言えるものが、これまでなかなかありませんでした。
この町で、田んぼが牛を育て、牛が田んぼを育てる。そんな循環の物語ごと、この「平田ロッソ牛」を通じて知ってもらいたいと思っています。一度食べていただいたら、次はぜひ、この田んぼと牛たちに会いに来てください。 -
コラム⑧ あなたのひとさじ・一皿が、「これからも変わらぬおいしさ」を支えています
- 「平田ロッソ牛」は、ただおいしいだけの牛肉、ミルクではありません。
・輸入飼料に頼らず、自分の田んぼで飼料を作ることによるコスト削減と環境貢献
・堆肥を高根沢町の農地に還す耕畜連携
・田んぼでメタンガスを削減する取り組みを牛の飼養に置き換える
・高根沢という土地の発信、「高根沢といえば」というような誇れる商品の開発
荒井さんのこだわりの多くは、実は「持続可能な農業、酪農の実現」と「ビーフとミルクの品質を100年先を視野に入れて、守り続けるための工夫」でもあります。
牛乳や牛肉の値段は、これからも簡単には上げられません。だからこそ、その裏側にあるこだわりを知って、正しく評価してくれる人の存在が、酪農家にとって何よりの力になります。あなたの支援は、荒井さんが「これからも同じように、良質なビーフとミルクを届け続けられる」ための、確かな一歩です。















